月の巡りと共に-「那須贅沢時間」4巡り目 「玄米と野菜料理の店 松おか 松岡美代子さん」

 松おか

 新たな目標設定やチャレンジの始まりに適している、新月の日。そんなエネルギーが満ちてくる時に、那須の自然におしえられながら満月化粧水「月子」を誕生させた(株)サクネス代表の澤野典子が那須周辺で素敵な生き方を紡いでいる方をご紹介。あなたの中の新たなスイッチが見つかるかもしれません。

 

里山の恩恵を「いただきます」

 

 原風景が多く残る那須町。「月子」の基になるヘチマは、昔ながらに近い農法で里山の恵みをたっぷりいただいて育てられています。私たちも同じですが、どうしても社会の営みに追われて力(癒やし)を欲した時、訪れるお店があります。黒田原地域の那須連山と八溝山脈を望む「玄米と野菜料理の店 松おか」です。地元出身の店主松岡美代子さん(67)の野菜たっぷり、慈愛溢れるお料理がいただけます。

 

ある夏の日のランチメニュー(日替わり)です。

夏のランチメニュー 

  • 黒大豆とテンペの唐揚げ
  • 茄子の煮びたし
  • 春雨サラダ
  • トマトと玉ねぎケッパーマリネ
  • カボチャもち
  • 豆、豆乳マヨ和え
  • 自家製メンマ
  • 漬け物
  • 自家製発芽酵素玄米 
  • 自家製味噌を使った重ね煮みそ汁
  • デザート:よもぎ甘酒豆乳プリン

 大田原市で25年以上無農薬、環境に配慮した土壌改良に取り組む農家さんの米、大豆、しょう油をはじめ地元農家さんが丹精した新鮮な野菜や果物が真ん丸大きなお皿に大集結します。滋味溢れる煮物、和え物、漬物に、異国のスパイス香る一品も共演。山菜は、「山が呼んでいる!」と美代子さんが旬の出合いを求めて山に入って収穫され、時には一日以上掛けてあく抜きなどの下処理がされ、調理されています

厨房での美代子さん

 玄米のままよりも消化しやすいという自家発芽酵素玄米は、発芽させてから炊いて、三日も寝かせています。消化に体力を要する動物性タンパク質は使わず、〝畑のお肉〟大豆の唐揚げと、どれもこれも「体に負担が掛らないように」と手間暇惜しまず、手が加えられています。

テンペ

 里山の恵み、強い生命力、慈愛が詰め込まれた一皿を食べ終えると健やかな気持ちで満たされます。

 

 「季節に準じ、バランスよく。その人、その時に合った食べ方をすれば間違いないんです」と語る美代子さん。小柄な体から強いエネルギーを感じます。

 美代子さん

 保育園の調理師を務めていた美代子さんがお店を開いたのは9年前。改めて「食」に目覚めたのは、約20年前、腎臓に1㎝くらいの石が10個も見つかり、その原因が偏った食事だったそうです。

 

 「タケノコとホウレン草の食べ過ぎ。バランスと食べ合わせが大切。タケノコを食べる時は海藻類と一緒に食べるとか。そこから食事で治そうと決心して、本を読んだり、教室に通ったり。今、石はありません」

 

 さらに、ご主人の大病も重なり、「体の力を抜いてゆっくり食事できるところがほしい」とお店を開くことを決意。ご主人は食事療法ができる段階ではなく、美代子さんの背中を押して天寿を全うされました。

 料理、パン、コーヒー、薬膳料理と学びを深め、「好きな食べ物を聞くと体のどの部分が弱っているかが分かる」と言います。美代子さんのお弁当を毎週食べて、アドバイスを実行して体調不良が良くなった方も少なくありません。遠くは北海道から来たお客様もいたそうです。

 

 「『体調が良くなった』と聞くとうれしい。でも押しつけはできないから、その方に合った本を貸すこともあります。それを取り入れるか。選ぶのはお客様だから」

 

 店の大きな本棚には料理から食材、山菜、野草に関する本までズラリ。自然療法家の東城百合子先生の本も並びます。「自然療法」とは体を作る食事の見直し、身近な野菜や葉っぱを用いた手当てなどで自然治癒力を高めて健康維持、病気を治そうという医学、私の母の代から書棚にあった一冊です。

 

 山育ちの美代子さん。幼少の時はお母さんがヨモギをもんで傷口に塗ってくれて、今は自家製のチンキ(生薬、ハーブの濃縮エキス)を常備。野草の力を実感しているそうです。「野草談議に花が咲く」のも「松おか」ならでは。

 よもぎ

 美代子さん(以下、美):野草はね、越冬して初めて芽生えたものが一番。蓄えた生命力が全部詰まっているの。

 

 私:生命力だよね。「栄養成分」「数値」に右往左往しがちだけれど、〝いかに生命力があるものをいただくか〟に重点を置くべき。

 

 美:生命力があるもの、季節のものを食べていれば元気です。

 たけのこ

 私:昔の人はそれを分かっていたのよね。タケノコの朝晩で長さが変わる、あの勢い。エネルギーがたくさん詰まっているってことよね。

 

 美:根を張るものは特に生命力が強い。多くの農家の家の裏に竹林があるのは、家を守るため。しっかり張った根で土砂、水害などから家を守ってくれる。全部、意味があるんです。

 

 私:いろいろなものに守られている。改めて感じるだけで生き方が変わってくるよね。

 

 美:体の不調を食べ物で治そうとした時から、少しずつ分かってきた。「見えてきた」かな。今で言うとマクロビ。自分で育った環境や食べていたものが自然そのものだった。ただそれだけ。それに気付くと、山はただの山ではない。「宝の山」。

 

 私:それが今は、「贅沢」になっている。

 

 今、美代子さんの小学生のお孫さんが可愛い弟子として野草探しにお供しています。お孫さんは外食が続くと、「何か変」と不調を訴えてくるそうです。「何か変」。皆さんは感じられていますか。

 

 皆さんにも里山の恵みをいただき、自分の体の声に耳を傾ける「那須贅沢時間」を過ごしていただきたいです。あ、お肌の声も聴いてあげてくださいね。

 

玄米と野菜料理の店 松おか

329-3222 栃木県那須郡那須町寺子丙161-3

0287-72-1105 

【営業時間】

11:3014:00

17:0021:30(夜は完全予約制)

 【営業日】

 土・日・その他

テークアウトあり(要予約)