「~手作り味噌・とちぎの地酒~蔵楽(くらら)」 猪口加奈子さん

 

月はいつも変わらず、満ちては欠けそして満ちてゆく、お日様と共に、地球に住む私たちを見守ってくれています。 

「日出づる処」と呼ばれる日本その真ん中辺りの那須で風、水、土、そしてお日様、お月様と寄り添いヘチマを育てる一家がいます。一家は、お月様のほんのり心の芯を温めてくれる不思議な力とヘチマが蓄えた清らかな水から「月子」という美容水を作りながら、「ゆったり流れる那須時間」で暮らしています。 

これからお届けする物語は、一家の好きなモノ、コト、ヒトを巡りながらワクワク好奇心旺盛な月子さんが【那須贅沢時間】とは何かを感じていきます。少々お付き合いください。 

 

手づくり味噌・とちぎの地酒 蔵楽 

 1巡り目 

「~手作り味噌・とちぎの地酒~蔵楽(くらら)」 
猪口加奈子
さん
 

 

 大豆一粒一粒に個性と愛情 

 

 初のお出かけは一家が大好きな、手作り田舎味噌と県内中心にこだわりの地酒がそろう「蔵楽」です。蔵楽のご店主猪口加奈子さんは湯本にある老舗「月井酒店」に生まれ、父親から伝わるお味噌作りを受け継ぎました。一時は夫尚久さんのお仕事の関係から都内で暮らしていましたが、「自然豊かな場所で子育てがしたい」と故郷に戻ってきたそうです。 

猪口加奈子

 一家との出会いは約10年前。あるイベント出店で隣合わせに。元々一家が月井酒店さんのファンで月子」が店頭でお世話になっていたこともあり、それはそれは意気投合(笑)。一家のお母さんこと〝月子かぁさん満面の笑顔で 

特に甘めの味噌『ちゃうす』を生野菜につけて食べるのが大好き。野菜を生かす味噌なのよ 

と話すものですから月子さんは気になって気になって仕方がありませんでした。 

 

 雨の日の昼下がり、月子さんは月子かぁさん蔵楽さんを訪れました。木々に囲まれた和風の建物に入ると無農薬野菜や卵、地酒全国各地の自然に優しい商品がお出迎え。お味噌も宝物のよう並んでいます。 

 

こだわりの味噌や選びぬかれたお酒 

月子さん(以下、月)こんにちは。すごい品ぞろえですねお店は旦那さんと2人で営んでいるのですか。 

加奈子さん(以下、加):はい。一品一品に物語があるので出来る限り説明したくて、主人と目の届く範囲で。でもどうしても忙しいときは常連のお客様が代わりに説明してくれることもあるんです(笑)。「この味噌は甘めだよ」とか。そこからお客様同士が仲良くなることもあります 

:すてき。 

 お味噌に使うお米を作っていたことがあると聞きました。 

加:「一から自分で」と思ってやってみたのですが、ものすごく大変で。今は地元の農家さん交流を育みながらこの人だったらと信頼できる農家さんから仕入れています 

月子かぁさん(以下、かぁ)結局は「人」。人柄が商品に出ますよね。 

:そうなんですよね。黒大豆は大田原の古谷農産さん、那須の成澤菜園さんとか。「味噌仕込み用に」と豆を取っておいてくれるんですよ。 

他の大豆と違いますか 

無農薬だから虫食いとかあるけれど、それすら愛おしく感じる「あの人が一生懸命育てた顔が分かるから一粒一粒がかわいくでしょうがないの。(味噌作り) は全て手で混ぜていて、混ぜる前は必ず合掌から入ります。 4樽5樽めと混ぜていくと腕は疲れるし、作業が深夜におよんでしまうこともありますが、うちのお味噌を「おいしい」と言ってくれる子ども達のことや、今目の前にある材料がここに来るまでにいろんな人の愛情が入ってるんだなあありがたいと思いながら混ぜていきます。 

愛情がこもりますね。またまたすてき! 

全部で何種類作っているのですか。 

定番の那須雄の味噌シリーズで米糀味噌・麦麹味噌・米麦混合糀味噌のほかに、黒大豆味噌「黒尾谷」、玄米糀味噌「三本槍」、豆の入った「南月山」、甘い米糀味噌「ちゃうす」の7種 

蔵楽のお味噌たち

:仕込みが一番忙しい時期とかあるのですか 

年中なの。強いて言えばお味噌は寒仕込みが多いのでお正月明けからが本格的かな。お味噌の仕込み量を増やしたから、思い切って週休2日にしてそのうち日を仕込みの日したの 

日はちゃんとお休み頂くことにて。これまで自分のためのお休みがなかったな、吸収しにくい頭になっているなって気がいて。美術館に行ったり人に会いに行ったり自分の時間をきちんと作って、そこで得たことをお客様に還元できればいいなって 

 

:お店には味噌以外にもオーガニック系の食品から生活雑貨、陶器まで並んでいますよね旦那さんの説明詳しくて熱くて面白かったです 

作っている人の顔が見えて、使う時にふと思い浮かべてもらえたらって。「月子作っているご家族がキュートでしょ(笑)。 そうするとただの化粧水では無い訳ですよ 

蔵楽に並ぶ月子

(テーブルにあったお味噌を見つめて)この子たちもただ「味噌」ではなく一つずつ個性がある、物格があるここに来るまで携わってくれた人だったり、それぞれの思いもあったり。そういうのを大事にしたいそれが本当の豊かさなのかなって思います 

かぁそれを受け取れる感性みたいなものをもっと持てると良いよね余白みたいなものを。  

:ストーリー溢れてますね 

ご主人も地元のご出身なんですか 

主人は鹿沼なの東京に勤めている時は何でも「東京だったら」東京軸の考え方すごく衝突した。でも人が変わったの。私が子育てするのに東京では閉塞感を感じて先にこっちに戻ってきて、主人も体を壊して早期退職。(こっちに来たら)どうしても自然の中にいるから土に触れる機会が多い。それから人が変わっていった土に触れると人は変わるんだなって思いました。 

何かね主人は不思議と子供に好かれるの。お客の子と一緒になって遊んじゃう。その間お父さん、お母さんはお酒を選んでる、みたいな(笑)。感性が豊かになったんですね。 

  

蔵楽 

 時刻は午後3時ごろ、シトシト雨の音に包まれて、心地良い時間が流れます。 

 

 

:お店をやっていて一番やりがいを感じる時はどんな時ですか。 

:「やりがいというか嬉しいなと思うのは、お客同士がここで仲良くなった時。小さいお子さんとおばあちゃんとかね。普段は全然接点ないお客同士和気あいあいとしていたりすると、お店やっていてかったなって思います。ここにいる間、心の解放感を提供できているのかなって 

味噌については、「ここのお味噌で作ったお味噌汁ならうちの子飲むのよ」「体調が良くなった」とか聞けるとうれしいですね。あと、「手作りがおいしかったから、自分で作ってみようと思う」とか。 

:いま、冬の時期お薦めのお味噌はありますか。 

お味噌は時期というより人それぞれの好みかな。冬になると大根とか里芋の根菜が増えて、濃い目のお味噌汁がおいしい季節。そうすると麦の香ばしさとの甘さがちょうどいい米麦混合糀のお味噌が一番出る気がします。夏は汗をかくから塩みを欲するのでしっかりした味わいで後味すっきりした麦味噌。米味噌はオールマイティなので年中一定して出ますね 

:体が欲するんですかね。 

そう思います。あと何種類かのお味噌を合わせるのをお薦めしているんですよ。 

かぁ:うちも味噌用タッパーに3、4種一緒に入っている。 

和の食材ってケンカしないんですよ。打ち消しあうってことがないの。 

:他にお薦めはありますか。 

今なら「アジア学院」の平飼いの有精卵かな。卵を割った時に「お日様が笑っているみたい」っていつも思う。無農薬栽培の人参で作ったジュースもおいしいの。 

 「アジア学院」は、アジア、アフリカ地域の農村指導者育成していて、学生の渡航費や研修費のほぼ全額を学院が負担しているんです。その多くが寄付でまかなわれているから、応援の意味も込めてお店に置かせてもらっているの。 

 

:今後の夢はありますか。 

丁寧な暮らしを支えるお店にしたいです。お味噌お酒ゆっくり味わお手伝い。日常に「ゆっくり」を提供したい。ゆっくりしてもせかせかしていても同じ1日24時間って気付くと、もっと豊かになると思う。 

地酒

かぁレジ待ちの間にボヤっと雨の音、降る様子をみて「きれいなもんだなあ」と気付くとか 

:那須贅沢時間ですねゆっくりでいいんですよね。 

那須って本当に豊かな土地ですよね。本当にいろいろ巡っているんだなって感じます 

  

お日様が早めにお休みの準備を始め、そろそろお月様にバトンタッチ。月子さんは早くお月様に今日の話をしたくてウズウズしています。 

 「本当の豊かさを感じられる那須贅沢時間て、すてき。何より大豆一粒、お米一粒に個性と愛情を感じている加奈子さんがすてき。まだまだいろいろな那須時間を感じてみたい」 

 月子さんの好奇心はますます増したようですね。 

 

 

蔵楽 〜 手造り味噌・とちぎの地酒 〜 「那須雄の味噌」製造元 

 猪口さんご夫妻

 

〒325-0303 栃木県那須郡那須町高久593-299 

TEL:0287-74-5068 

E-mail:nasuonomiso@gmail.com 

Facebook:https://www.facebook.com/nasuonomiso 

9:30~18:00 定休日: 

那須雄の味噌米味噌(800g・864円税)、那須雄の味噌麦麹味噌(同)など。量り売りの販売もあります(216円~)。