月子の「もうすぐ満月ですよ」春風の名前
月に一度、満月の頃に、季節のお話や暮らしのこと、心身のことなどお届けします。
春風の名前
3月2日、気象庁から「関東で春一番が吹きました」と、発表がありました。
夜半にかけてのすごい風、森が轟々と鳴って窓もカタカタ、夜の闇の中、嵐の海原にいる気分でした。
春一番とは、関東地方では立春から春分の間で、日本海に低気圧があり、東南東から西南西の瞬間風速が8メートル以上の風、気温が前日より上昇した際の風を言います。実は今年は厳密に言えば、2月28日の風かな…と迷ったとか。それほど春一番の発表は難しいそうです。
すっかり暮らしに馴染んでいる春一番ですが、全国区の呼び方になったのは、かのアイドルグループ キャンディーズの「春一番」という曲のヒットから。それまでは長崎県壱岐郡の漁師の間で、漁に出る際に「春一(番)だから出港はやめよう」など、一部の地域の春一番に吹く強風の呼び名でした。
曲のヒットのおかげで、気象庁に「今年の春一番はいつですか?」と言った問い合わせが多く寄せられるようになり、地域によって異なる判断が求められる難しい春一番ではありましたが、気象庁は地域ごとの基準を定め、発表をすることに決めたのでした。ちなみに北海道・東北・沖縄での春一番の発表はないそうです。
このほかにも季節の変わり目に吹く春風には、いくつもの名前があります。
○雪解風(ゆきげかぜ) ○梅風(ばいふう) ○東の風(あゆのかぜ) ○春嵐(はるあらし) ○春疾風(はるはやて) ○花信風(かしんふう) ○貝寄風(かいよせ) ○木の芽風(このめかぜ) ○凱風(がいふう) ○清風(せいふう) など。それぞれの意味を知るとなるほど~と感心するとともに、春を楽しむ気持ちが一層膨らみます。
中でもちょっとドラマチック…、と思ったのは○吹花擘柳(すいかはくりゅう)「花をそっと吹き寄せ、柳の芽を割き分けるようにそよぐ春の風」や ○鹿の角落とし(しかのつのおとし)「晴れた日中に吹く南西風。鹿の角は4月頃に一度落ちて、初夏に生え変わることから」 。どちらも風の中に春の風景が浮かび上がってきます。
そして冬から目覚めたばかりの神土の畑を気持ちよく吹く風は、○恵風(けいふう)「万物を成長させる恵みの風」、○穀風(こくふう・谷風でも)「植物を成長させる東風」に違いない…。そう思えば、畑仕事へのエネルギーがむくむくと充実してくる心地です。
日課の日向ぼっこにやってくる猫のシルバーは、時折、風の匂いをクンクンしているような仕草。山の雪が解けたことを雪解風で、桜が咲き始めたことは花信風でキャッチしているのかしら。
シルバーと一緒に日向ぼっこしながら春風に吹かれて、この春風の名前は何かなあ…、と考える幸せな時間を楽しみたいと思います。
お肌の調子はいかがですか。
春は黄砂やホコリ、そして花粉などで、肌が汚れやすい季節。暖かくなって出やすくなった汗や皮脂と一緒になれば、なおさらに肌は汚れてしまいます。風の強い日などは特に、いつもより丁寧な洗顔を心がけましょう。
そしてその分、化粧水などによる水分補給をたっぷりと。ジェルやマスクでのスペシャルなお手入れもプラスして、肌をほっとさせてあげてくださいね。