月の巡りと共に-「那須贅沢時間」番外編②「巡り巡って3年目突入」
新たな目標設定やチャレンジの始まりに適している、新月の日。そんなエネルギーが満ちてくる時に、那須の自然におしえられながら満月化粧水「月子」を誕生させた(株)サクネス代表の澤野典子が那須周辺で素敵な生き方を紡いでいる方をご紹介してきた本連載も3年目に入ります。過去12回の中に、「あなたの中の新たなスイッチ」を入れるきっかけはありましたか。
ご縁を巡る旅「那須贅沢時間」
「那須贅沢時間」は2021年2月にスタートし、今回でちょうど丸2年。私が那須での暮らし、「月子」を作り、育てる中でご縁をいただいた方々を新月に合わせて紹介してきました。3年目に入るにあたり、1回目から共に取材、執筆をしてきたフリーライターの青栁厚子さん(株式会社あを)と改めて、贅沢時間に浸ってみました。
青栁厚子(以下、青):那須贅沢時間の連載を始めてから月の巡り、自然の循環を意識するようになり、『自分は自然の中の一部』と気付けたことで暮らし、仕事への考え方も変わりました。
取材させていただいた方皆さんに同じような雰囲気がありますよね。それぞれが好きなこと、突き詰めたいことはどんどん究めつつ、寛容に受け入れ合っている。そして、とても楽しそうですよね。
私:好きなことに向き合えているからよね。
青:そういった思い、雰囲気を文字と文字の間に感じ取ってもらえるような文章が書けたらいいなと思っています。
自然食品の販売、コミュニティスペースの運営、循環型の無農薬無化学肥料栽培、オーガニックレストラン、着物文化の伝承など月子さんに登場する皆さんが利他の心を持って取り組んでいらっしゃいますよね。「これを続けたら行く行くはこの地域、世界がよくなるよね」と、ナチュラルに感じて体現されている。だから、より多くの皆さんに記事を読んでほしいのです。
私:それには、もう少し月子さんが浸透するように頑張らなきゃ!(笑)昨年秋から那須限定で販売している『御肌ご静養セット』は、前々から作りたかった「二十四節気と那須の歳時暦」と美容液満月マスクと多機能満月ジェルのお試しセット。ステキなイラストなのでぜひ那須に来られたら手にとっていただきたいなあ。
那須で過ごすひとときを「贅沢な時間」に感じさせてくださった皆さんの特に印象的なお言葉を通して、番外編を含めて過去12巡りを振り返ってみましょう。
― お店に並ぶ味噌もただの『味噌』ではなく、一つずつ個性がある。物格がある。そういうのを大事にしたい。それが本当の豊かさなのかなって思います。
2巡り目「NPO法人那須フロンティア 就労支援事業所 喫茶店ホリデーさん」
― 信頼関係を軸にした〝顔の見えるコラボ〟は、お互いの仕事に満足感が得られて、気持ちが健康的でいられると思うんですよね。メンタルヘルス、働きがい、達成感とかにつながる事業のカタチ。今後どんどんやっていきたいです。
― 私はシャーマン的に依頼主の思いを憑依させて創作するタイプだったけれど、典子さんから『人は一人で生まれ、一人で死んでいくのだから結局な自分を頼れば良いのよ』と。答えは自分の中にしかないことに改めて気付かされました。
― 山が呼んでいる!
5巡り目「コミュニティ・マーケット・サンノハチ 沓掛由美子さん」
― 『何とか生き延びようと』と。種は本当に賢い。だから、一粒でもいいから蒔いてほしい。特に子どもたちに。
― 那須に来て20年。環境に対して共通の認識を持った方など本当に多くのつながりができて、那須に来てよかったです。
― (澤野さんは)作品(化粧品)を作っている感じじゃないですね。最終的なアウトプットが化粧品なだけで、農作業も含めて、那須という場所を共有したいっていう思いが一番なんですね。
7巡り目「NATURAL RESTAURANT OURS DINING さん」
― こんなにお互いを思いやり、気持ちいい時が一緒に過ごせるのだなって。『ゆるくつながる』。不思議な心地良さがあります。
― パン屋さんに入って来た時の『わぁ、いいにおい』っていう幸せそうなお客様の顔が、パン屋さんを目指すきっかけでもありました。
9巡り目「スポーツアロママッサージLILACSENS.代表山田祐子さん」
― 力加減とか難しいことよりも『自分は大切にされている』と感じてもらうことが一番のケアだなって。
― 自然界の循環に沿って、しかも自然栽培で育てられたヘチマからできている『月子』さんはいろんな恵みが詰まっていると思います。成分では測れない、目に見えないものの方が大切なんじゃないかなって。
― 典子さんの『(写真家さんの澤野新一朗さんにとって)写真はアフリカの大地の壮大なエネルギーを伝える一つのツールなのよ』という言葉。この言葉を聞いたと時に、『きものは私にとって日本の文化や知恵を伝えるツールなんだ!』って思ったの。
青:「那須贅沢時間」は那須だからこそ生まれた企画なんですね。
私:そうなの。2001年に移住して、こんなに長く心地良く過ごせている。その恩恵を皆さんにシェアしたいと思って始めた。
青:取材しながらシェアしていただいています。
私:11巡り目の菊池先生は、どこにそのパワーがあるんだろうというくらい底力、大地の力みたいなものがあるわよね。昔からご縁はあったけれど、取材して改めて『すごい人がいるな』と思う。
他の方も皆さん同じ。あるモノ、コトへの思い込みを良い意味で、見事に打ち破ってくれる。
青:打ち破られることが心地良いですよね。
私:そうそう。いかに自分の価値観、見える部分だけで何かを判断していたかを気付かせてくれる。本質はもっと違うところにあるんだなって。
青:見えない部分をすごく感じますよね。そこをもっと信じていいんだって。
私:本当にそう。同じものでも見る人によっていろんな表情を見せる。
青:那須も登場してくれた皆さんによっていろんな表情を見せてくれていますよね。自然も、文化も、暮らし方も。
私:場所、モノ、コトは、関わる人によってそれぞれ異なる表情、意識が生まれるのよね。どんどん発掘しなくちゃ(笑)。
「月子」も多くの方に愛されて、ご縁をいただき、発売から13年が経とうとしています。
青:以前、「月子ちゃん」から「さん」に成長しているとおっしゃっていましたよね。
私:2020年新商品「月子多機能ジェル」「美容液満月マスク」の発売時、デザインを益子悠紀さんが担当してくれて、すっかり神秘的な大人の女性に。実は今、「満月化粧水」の在庫がなくなっていて、次回からデザインを統一。ご要望の多かった携帯できるスプレータイプの容器に変更して発売予定です。お待たせしているお客様、申し訳ありませんm(_ _)m
青:わぁ、楽しみです。
今年はさらに、アフリカプロジェクトも始まるのですよね。
私:はい、撮影に同行し南アフリカで暮らしていた時が、ちょうど子育て時期だったこともあり現地の方々にとってもよくしてもらったの。その後も現地に訪れると家族のように迎えてくれる人々。私にできることは?と長年温めてきたコトに強く共感してくれた女性達と一緒にGODIN プロジェクトをスタートします。GODINとはアフリカーンス語で「女神」。現地の女性グループとも繋がりながら、モノを生産、製造、販売するだけではなく、もっと豊かで実り多いプロジェクトに成長させてゆこうと考えています。
実はこの日の少し前から青栁さんは、「記事が書けない」とスランプに陥り、ひどく落ち込んでいました。けれど、こうして柔らかな陽の降り注ぐ中「那須贅沢時間」について、今後の月子さん、私の夢などについて語り合ううち、固い表情がほろほろ解けて、いつもの笑顔が咲いたような・・・。目にもうっすら涙をにじませて―。
所によっては雪の残る冬のある日のことでしたが、寒くてもヘチマの畑に連れていってあげれば良かったかな、なんて。ヘチマは土の上で自然とタワシに姿を変えていて、周りの山々、木々には春の気配。どんなに厳しい冬でも必ず春は来る。一緒に感じたかったな、と。
7巡り目で訪れた「NATURAL RESTAURANT OURS DINING」の濱口淳子さんの言葉を思い出します。
「土の中にいれば、全て丸くおさまるんです」
いつでも絶好調はありません。月も自然も波があります。
疲れたり、落ち込んだり、辛かったり。
そんな時、那須が、月子の畑が、待っています。皆さんを呼んでいますよ。
株式会社あを
記者、フリーライター 青栁厚子
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