月の巡りと共に-「那須贅沢時間」1巡り目「~手作り味噌・とちぎの地酒~蔵楽(くらら)」さん
那須の自然におしえられながら満月化粧水「月子」を誕生させた(株)サクネス代表の澤野典子が、那須でご縁をいただいた方を訪ねて、お話を聞かせていただくシリーズ。お話を通して、日々の暮らしがいつもよりちょっと心豊かに、心軽やかになる…。そんな「那須贅沢時間」を見つけてお届けします。
月の巡りと共に-「那須贅沢時間」1巡り目
「~手作り味噌・とちぎの地酒~蔵楽(くらら)」さん
大豆一粒一粒に個性と愛情
初回は大好きな手作り田舎味噌と県内を中心にこだわりの地酒がそろう「蔵楽」さんです。蔵楽のご店主・猪口加奈子さんは湯本にある老舗「月井酒店」に生まれ、お父さんからお味噌作りを受け継ぎました。一時は夫尚久さんのお仕事の関係から都内で暮らしていましたが、「自然豊かな場所で子育てがしたい」と故郷に戻ってきたそうです。尚久さんは、鹿沼出身。東京に勤めている時は何でも「東京だったら」と東京軸の考え方ですごく衝突していたそうですが、体を壊して早期退職。那須で自然の中にいて土に触れる機会が多くなって変わっていったそうです。
蔵楽さんとの出会いは約10年前。月井酒店さんのファンで満月化粧水『月子』が店頭でお世話になっていたこともあり、すぐに意気投合したのです。
那須街道に沿いにある、木々に囲まれた和風の建物が店舗です。お店には無農薬野菜や卵、地酒、全国各地の自然に優しい商品と共に、お味噌が宝物のように並んでいます。
お味噌は定番の「那須雄の味噌」シリーズ。米糀味噌・麦麹味噌・米麦混合糀味噌の他に、黒大豆味噌「黒尾谷」、玄米糀味噌「三本槍」、豆の入った「南月山」、甘い米糀味噌「ちゃうす」の7種あります。加奈子さんのお薦めは、何種類かのお味噌を合わせること。私も味噌用タッパーに3、4種一緒に入れてあって、「ちゃうす」を生野菜につけて食べるのが大好きです。
「蔵楽」では原材料は、黒大豆は大田原の古谷農産さん、那須の成澤菜園さんなど地元農家さんと交流を育みながら仕入れをしています。加奈子さんは、
「無農薬だから虫食いとかはあるけれど、それすら愛おしく感じる。『あの人が一生懸命育てた』と顔が分かるから一粒一粒がかわいくでしょうがないの。(味噌作り) は全て手で混ぜていて、混ぜる前は必ず合掌から入ります。 4樽目5樽目と混ぜていくと腕は疲れるし、作業が深夜におよんでしまうこともありますが、うちのお味噌を『おいしい』と言ってくれる子ども達のことや、今、目の前にある材料がここに来るまでにいろんな人の愛情が入ってるんだなあ、ありがたいと思いながら混ぜていきます」とほほ笑みます。
お味噌以外の地酒やオーガニック系の食品、生活雑貨、陶器などもストーリーを感じる厳選の逸品が並びます。アジア、アフリカ地域の農村指導者を育成している「アジア学院」の平飼いの有精卵や無農薬栽培の人参で作ったジュースなどは、留学生の渡航費や研修費のほぼ全額を負担している学院を応援する意味も込めてお店に置かせてもらっているそう、「アジア学院」の卵は、割った時に「お日様が笑っているみたい」っていつも思うそうです。
どれを買おうか悩んでいると一品一品に加奈子さん、尚久さんが詳しく、時に熱く説明を添えてくれます。「作っている人の顔が見えて、使う時にふと思い浮かべてもらえたらって。月子も作っているご家族がキュートでしょ(笑)。 そうするとただの化粧品では無い訳ですよ。お店に並ぶ味噌もただの『味噌』ではなく一つずつ個性がある、物格がある。そういうのを大事にしたい。それが本当の豊かさなのかなって思います」と加奈子さん。
さらに今後の夢について聞くと、「丁寧な暮らしを支えるお店にしたいです。お味噌やお酒をゆっくり味わうお手伝い。日常に『ゆっくり』を提供したい。ゆっくりしてもせかせかしていても同じ1日24時間って気付くと、もっと豊かになると思うんです。那須って本当に豊かな土地、いろいろ巡っているんだなって感じます」
大豆一粒、お米一粒、時の流れ、一期一会に慈しみが感じられる「蔵楽」さんで「那須贅沢時間」を過ごしてみてはいかがでしょうか。
蔵楽 ~ 手造り味噌・とちぎの地酒 ~ 「那須雄の味噌」製造元
〒325-0303 栃木県那須郡那須町高久乙593-299
TEL:0287-74-5068
MAIL:nasuonomiso@gmail.com
https://www.facebook.com/nasuonomiso
9:30~18:00 定休日:水・木曜
那須雄の味噌米糀味噌(800g・864円税込)、那須雄の味噌麦麹味噌(同)など。量り売りの販売もあります(216円~)。