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記事: 月の巡りと共に-「那須贅沢時間」6巡り目 「ちっちゃなおやまの農場 山口謙一郎さん」

月の巡りと共に-「那須贅沢時間」6巡り目 「ちっちゃなおやまの農場 山口謙一郎さん」

月の巡りと共に-「那須贅沢時間」6巡り目 「ちっちゃなおやまの農場 山口謙一郎さん」

新たな目標設定やチャレンジの始まりに適している、新月の日。そんなエネルギーが満ちてくる時に、那須の自然におしえられながら満月化粧水「月子」を誕生させた(株)サクネス代表の澤野典子が那須周辺で素敵な生き方を紡いでいる方をご紹介。あなたの中の新たなスイッチが見つかるかもしれません。

 

 

自然農法は「優しさ」の循環

 

 自然な黄身の色

 優しい味わい

 「大切に育てられた鶏の卵なのね」

 愛しささえ覚える体験を生み出すのは、那須塩原市寺子の「ちっちゃなおやまの農場」の山口謙一郎さん(60)。養鶏も農作物の栽培もできる限り自然のままで。循環型の無農薬無化学肥料栽培を20年近く実践し、使う資材も地場のもの、土に還るもの。「安心安全な食材を手軽に」と思いを込めた卵や野菜は伸び伸びと個性豊かに育ち、力強い味わいを与えてくれます。「月子」が自然体で育つことができるのも山口さんのおかげです。

山口謙一郎さん

 販売は互いの顔が見える安心感を大切にし、車の荷台に野菜を積んでお客様のお家まで伺う「引き売り」という昔ながらの方法がメイン。イベント出店、または主旨に共感する店舗での委託販売もしています。どんなお野菜がどのくらい並ぶかも自然のままに。

 

農業仲間とのマルシェをはじめ、「那須アースデイ」「黒磯駅前活性化委員会」への参加など那須地域に極自然体でとけ込む山口さんですが、実は大阪出身の元エンジニア。大手製造会社に勤め、京都、茨城、千葉に赴任。工場立ち上げを任される貴重な人財でしたが、

「赴任先は工業が近く、空気が悪かった。子どもがアレルギー持ちで、家族の将来を考えた時に『自然の中で暮らそう』と」。

最後の勤務地はベトナム。「辞めるなら帰国するタイミングしかない」と決意し、1993年春退社したそうです。

  

 キャンプ好きで那須によく来ていたこと、同じように脱サラしたキャンプ場のオーナーに背中を押されたこと、雑誌に那須での農業を誘うコラムが載っていたこと。偶然か必然か那須に移住。まず、同時期に移住して来た人と養鶏を始めましたが、一年半後には現在の住まいの横にDIYで鶏舎を建てて独自の育て方を確立していきます。

 

私:養鶏のノウハウはどうやって。

 

山口さん(以下、山):一緒にやっていた人から教わったのと、一応本も読んだりして、あとは実践しながらの試行錯誤ですね。鶏は、ひなを購入しうちの環境で育てたり、廃鶏をほぼ無償でももっらたりし、育てています。

「廃鶏」とは採卵期間を終えて鶏舎から出される廃棄用の雌鶏のこと。多くが飼育コスト削減などの経済的理由により、と畜、解体されますが、実はまだまだ産卵できて健康である場合がほとんどなのです。

 山口さんの鶏たち

私:出会った時、山口さんの所には卵をあんまり産まない鶏がいっぱいいるって話を。かわいそうで廃鶏を潰せない〟、大切にしているから「そのまま」なのよね。平飼いもその頃から。

 

山:人間も含めて自然のままの生活に近づけたいので、自由に。

 

私:エサも気を使っていて(市販の完全配合飼料を一切使わず、地元で入手できるものを厳選。知人の飲食店の残飯、薬草くず、米ぬかなどを自家製発酵基剤で自家有機発酵させている)。優しい卵なのよね。

卵は常温保存よね。

 

山:鶏は冷蔵庫を使わないですからね(笑)。

 

私:(笑)。「ちょっと冷蔵庫入れておいて」とか言わないよね。

 

山:多くの卵は衛生管理上、塩素入りのお湯で洗浄しなければいけない。けれど、表面にもともとある防菌層まで洗い流してしまうので洗浄した瞬間に「生鮮品」に名前が変わる。本来は一カ月とか保存できます。 

 

私:人間のご都合よね。大量生産しようとすると余計な手を加えないといけなくなる。

 

 

優しさは野菜栽培、循環型農業につながっていきます。

 

山:野菜を育てれば鶏たちのエサにも生かせる。そして、その子たちの排せつ物が肥料になる。少量多品種。常時10種類くらいあると思います。

販売は引き売りメインですが、お店に委託販売のお声も掛けてもらったり。那須はそういうご縁が面白いですよね」

 山口さんの野菜たち

私:「食」に真面目に取り組む方が自ずと集まってくるのよね。

 

山:時間はかかりますけどね。

 

 ご縁と共に活動は広がり、黒田原で創業百年の「天然味噌 日野屋麹製造元」のご店主と東京出身の工芸作家さんとの3人で「那須いいもの会」を結成。試行錯誤の末、国産大豆、黒大豆の栄養素をそのまま残せるように、元エンジニアの腕を生かした自家製温度調節器でじっくり発酵させた納豆、さらに珍しい皮つきのままの黒豆テンペを開発。「大粒で食べ応えがある」「懐かしい味」と人気を集めています。そして、お豆腐も。

こだわりのテンペ

「那須に来た時のコンセプトが『朝ごはんの食卓にあるものを出来る限り自家製で』。ほぼコンセプト達成です」

 

 

「月子」に深く関わってもらうように、
いわば畑の顧問になってもらったのは2016年のことです。

 

私:素人の私の「那須の良いものを生かしたい」「自然に寄り添う循環型で」という理想に、山口さんのおかげで近づけている。

 

山:毎年、バージョンアップしていますよね。

 

私:マルチシートがあの原風景に合わないから止めて刈り取った草などで草マルチに。支柱も園芸資材から、山口さんの提案で近くの竹林の竹を。今回は採水用の袋を茎に固定するビニールテープを麻ひもに替えたら、作業も楽になったよね。

 月子の畑

山:万一、外すのを忘れても土に還っていく。僕のキュウリ栽培の時の応用です。

 

私:土はもちろん全てがシンプルに循環できるようになっていっている。山口さんだからできる提案よね。

 

山:肥料もあげてないですよね。見た目がワイルド過ぎるけど(笑)。

 

私:今年は天候不順で心配したけれど、ほぼ例年通りの採水量。

 

山:底力を出してくれましたね。

 ヘチマ水採水の様子

 

 キャンプ場運営のお手伝いや梅林再生活動、さらにマルシェや環境イベント、地域活性化の取り組みなどでも活躍する山口さん。パソコン修理やネット接続の依頼も多いそうです。

 

山:今は体力的な問題でどれを残すかを選ばなければいけないかなと。

 

私:「月子」は残してね。私も、いろいろ考えちゃう時だけど(笑)。

 

山:「互いに励まし合っていこう」ですね。

 

私:どんどん、ふかふか優しくなっていっていますもんね。

 

山:あ、畑の土のことですね。誰かの性格のことかと(笑)。

 

 

 「月子」は、山口さんをはじめ多くの人の「優しさ」を実感させてくれます。山口さんは苦労して得た自然の循環の一つになれる農法、スキルを惜しみなく共有してくれます。

知識、技術そして優しさの循環。

個性豊かな人が集まる那須こその贅沢かもしれません。

 

山口さんは柔らかな笑顔で語ります。

「那須に来て20年。環境に対して共通の認識を持った方など本当に多くのつながりができて。那須に来てよかったです」

 

 

ちっちゃなおやまの農場

325-0011 栃木県那須塩原市寺子1844-3

販売先などの詳細は、

HPhttps://t-oym-farm.jimdofree.com/

E-mailoym.farm@gmail.com

 

取材地:Croce-森の中のパン屋さん https://croce-nasu-2002.jimdofree.com/

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【販売終了】クリスマスセットの販売を開始しました。
ニュース

【販売終了】クリスマスセットの販売を開始しました。

これまでの感謝を込めて、12月限定でお得なセットを3種類ご用意しました。 長いマスク生活などで乾燥や肌のトラブルが多いこの時期、お得なセットでゆっくりとセルフケアしてください。コロナ禍で、新しいお客様に月子を知っていただく機会がとても少なく苦戦しておりますので、お友達や周りの方々にもお知らせしていただけると幸いです。

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