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記事: 月の巡りと共に-「那須贅沢時間」8巡り目 「まるぱん工房」

月の巡りと共に-「那須贅沢時間」8巡り目 「まるぱん工房」

月の巡りと共に-「那須贅沢時間」8巡り目 「まるぱん工房」

 新たな目標設定やチャレンジの始まりに適している、新月の日。そんなエネルギーが満ちてくる時に、那須の自然におしえられながら満月化粧水「月子」を誕生させた(株)サクネス代表の澤野典子が那須周辺で素敵な生き方を紡いでいる方をご紹介。あなたの中の新たなスイッチが見つかるかもしれません。

 

全て優しく、まぁるく。小さなパン屋の天然酵母パン

 

「本当にパン屋さんがあるのかな」と一抹の不安を抱き、住宅街のくねくね細道を進んでいく。小さな看板を目印に細い路地に入っていくと白いかわいい建物「まるぱん工房」が現れる。はやる気持ちを抑えお店に入ると、思わず鼻から空気を胸いっぱいに吸い込んでしまう。

「酵母がのびのびと発酵するとこんな香りがするのね」と。さらに、感動に浸るや否や、丸みをおびた手足とつぶらな瞳のくまの形のパンに思わずにっこり。「くまぱん」たちの声が聴こえます。「頬張ってみて。さらにキュンとしますよ」と。

 まるぱん工房の鈴木さん

那須塩原市原町の住宅街に佇む「まるぱん工房」は2004年、大のパン好きの鈴木みつこさんが県内のパン屋さんで研さんを重ね、夫の幹夫さんとオープン。移動販売メインでスタートし、お客様が徐々に増え、子どもの誕生も転機となって店頭販売を始めたそうです。

私が友人から噂を聴き、初めて訪れたのは2006年のこと。以来、小麦の力が引き出されたもっちり感とナチュラルな発酵を感じさせるわずかな酸味。じっくり広がる生地の甘みの虜に。食べた瞬間からとにかく幸せな気分。何があってもダイレクトに幸せになれる、私のパワーフードなのです。

 

 

まるぱん工房のパンは高機能浄水システムにより不純物を取り除いたお水を使い、北海道産の小麦粉4種とライ麦全粒粉、残留農薬のないカナダ産最高品質の小麦粉をパンの種類によって使い分けています。北海道産の新鮮な牛乳から作られた高級無添加の「よつ葉フレッシュバター無塩」、精製されていないサトウキビ100%の種子島産粗糖、オーガニックショートニング、100%海水塩で伝統製法で作った浜比嘉塩。そして、卵、粉乳などを使わずに小麦粉本来の味、力を引き出せるという「あこ天然培養酵母」。自然に近い、厳選した最小限の材料を使っています。

特に、「あこ天然培養酵母」はイースト菌に比べ10倍以上、12時間近くの発酵時間を要しますが味の要と言っても過言ではなく、出合いは運命的だったそうです。

 

鈴:オープン前からガスオーブンを使うことは決めていて新宿で開催されていた展示会に行ったら、「あこ天然培養酵母」のメーカーとオーブンメーカー共催のパン作りの講習会が開かれていたんです。そのパンを食べたら他のパンと全然違って余計な臭い、甘みがない。正真正銘の「小麦のパン」だったんです。

 

私:衝撃だったんだ。

 

鈴:あの出合いがなかったらうちは終わっていたかもしれませんね。導かれたんですね。ガスオーブンにこだわったおかげです。

 

私:ガスオーブンは味が違うのよね。

やっぱり炎って大事。昔に近い形が良いんですかね。同じ180℃でも何の力でその温度になったかで出来上がりが違う。イーストと天然酵母の違いも同じ。目に見えない部分が大事なんですよね。お客様もその違いを無意識に感じ取って通っているのよね。「なんとなくいいな」って。

パンの曜日 

二人は朝の2時、3時から毎日約20種のパンを作っていきます。ふわふわ、もっちりの食パン、あんぱん、クリームパン、お総菜系から曜日限定のライ麦を使ったハード系(水曜)、天然記念物「石割桜」抽出の天然酵母で作るベーグル(木曜)、全粒粉のパン(土曜)、幹夫さん担当のデニュッシュ系まで。お昼過ぎに売り切れてしまうことも少なくなく、「くまぱん」はさらに希少。出会えた時の感動はひとしおです。

 くまパン

くまぱんは2006年9月30日が誕生日。お客様の要望がきっかけで生まれ、今は特に贈り物に重宝されています。くまぱんが8個並んだ「くまぱんセット」や好きなアイテムを持たせたり、恰好をさせたり。好きなキャラクターパンもセットにしてくれる「お祝いぱんオーダー」が大人気。北海道から注文が入ったこともあるそうです。

 

鈴:中身は基本、板チョコですがお客様のご要望でこしあん、チーズとか。お願いされたらやってあげたい。

 

私:優しいのね。パン作りで一番大切にしていることは。

 

鈴:自分が楽しんで作ることですかね。

 

私:今後挑戦したいパンは。

 

鈴:要望があったら応えて、あとは今まで通りおいしく。

 

私:「今のおいしさをずっと」というのがお客さんの一番の願いよね。

 

鈴:ハード系、フランスパンとかかっこいいパンを作ろうと思った時があるけれど、私には子どもも大人も喜ぶ素朴なパンが合っていますね。

 

私:まるぱんのパンを男性からもらったら、その人を好きになっちゃいそうよね。こんな優しいパンを贈ってくれるなら優しい人に違いないって(笑)。

 

 ハリネズミパン

 

「こんにちは」。取材中、一人の若い女性が予約していたくまぱんのギフトセットを受け取りにご来店。表情豊かなくまぱん達を見るや否や「かわいいーー」と満面の笑み。他のお客様もにっこり。店内はさらに優しい空気に包まれます。

 

鈴:「かわいい」の一言が一番うれしいですね。あとは何回も来てくださる方とか。

夫が体調不良で2カ月ぐらいお店を閉めた時は「○○さん、食パン大丈夫かな」「もうお客さんと会えないのかな」とか考えちゃいました。

 

私:お客様との交流が励みで楽しみなのね。

 

鈴:今後もこのスタイルでおいしいパンを作り続けていきたいですね。最近、久しぶりによそのパンを食べたら「やっぱりうちのパンはおいしいな」って(笑)。袋を開けた時の香りが違いますね。うちは小麦が活きている感じ。

 

私:お店も同じ匂いがする。ふわぁっと何かが飛んでいるような。

 

鈴:パン屋さんに入って来た時の「わぁ、いいにおい」っていう幸せそうなお客様の顔が、パン屋さんを目指すきっかけでもありました。

 

 様々な種類のパン

 

「まるぱん工房」の名前の由来は「おいしくても〇(マル)。人間の良いところも〇。全てが〇」。鈴木さんご夫婦の人柄、くまぱんの包容力がにじみ出ています。

 

鈴:お客様にこのお話をしたら、「車輪も〇(丸)。前に進む意味もあるわね」って。

 

私:自分のことのように考えてくださっているのね。愛されている証拠ね。

私もその一人。だから、パンがあまり残っていないとシュンとしちゃうのよね(笑)。でも、「仕方ない。また次ね」って。くまぱんも好きだけれど「あんぱん」も大好き。大きいけれどおいしいから平気で1個食べちゃう(笑)。

 

鈴:生地は余計なものが入っていないからヘルシーだとは思います。生地自体がおいしいんですかね。自分で言うのもなんですけれど(笑)。

 

私:あんこ入りのベーグル、クリームチーズのパン、あ、ちくわパンもおいしいわよね!

結果、全部おいしいのよ(笑)。

 

 

 

おいしいものを作って、「おいしい」と笑顔に、元気になってほしい。鈴木さんのシンプルで強い思いにって全国各地から集められた環境、人に優しい食材たち。その食材たちも同じ思いから生まれたはずです。

さらに、思いは愛らしいくまぱんにのって、大切な人のもとに届く。見て驚き、食べて感動し、まんまる笑顔。その笑顔に作り手、生産者の皆さんが笑顔になる。笑顔は〇真ん丸と巡っていく―。

小さな〇がつながり、地球を一周している光景が目に浮かぶのは私だけでしょうか。

 浜比嘉塩

そうそう、まるぱん工房の味の要の一つ、沖縄県うるま市の自然豊かな浜比嘉島の海水のみで作られている「浜比嘉塩」。実は、我が家も愛用の逸品。実際に生産者を訪ね、天国のような浜辺、日本古来の流下式塩田

を拝見したこともあるんです。今回の取材の時に同じ塩を使っていることが発覚し、鈴木さんと二人で目を真ん丸くしたことは言うまでもありません。

お塩の味は、角のない「丸みのある塩味」が特長です。

桜の酵母山食パン

  

まるぱん工房

〒325-0015 栃木県那須塩原市原町6-372

0287-63-7006(FAX兼用)

 

【営業時間】

10:00-18:00(パンが売り切れ次第終了)

 

【定休日】

日・月曜(繁忙期には営業の場合あり)

詳細はホームページなどでご確認を http://www.maru-pan.net

オンラインショップ https://maru-pan.shop-pro.jp/

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