月子の「もうすぐ満月ですよ」田植えの頃
月子の「もうすぐ満月ですよ」
月に一度、満月の頃に、季節のお話や暮らしのこと、心身のことなどお届けします。
田植えの頃
新緑の季節になりました。
空も風も、そして水もきらめいて、どこをお散歩しても清らかな光が満ちています。
そんな中、10日にはヘチマの種まきをしました。上弦の月から満月へと向かう時。種の発芽にはぴったりのタイミングです。
そしてそろそろ田植えのシーズン。
水を張った田んぼに植えられた早苗が風にそよぐ風景を眺めると、なんて心安らぐことか。日本人の大切な原風景だからですね。
那須では、毎年6月のはじめ頃に松尾芭蕉が句を詠んだ遊行柳の前の田んぼで、馬の代掻きと昔ながらの早乙女による田植え披露をする「田植え祭り」が開催されてきました。残念ながらコロナの影響で、今年も開催は見送りとなってしまいましたが…。
その早乙女が田植えをする際には、昔ながらの田植え唄も歌われます。その歌い出しは
ヤレー 那須の与一は 三国一の
ヤレー 男美男で ホントニー 旗頭
ヤレー 押せや押せ押せ 下関までも
ヤレー 押せば港が ホントニー 近くなる
アー 植えてしゃれ 植えてしゃれ
この後も長々と地名や人名などを織り交ぜた楽しい歌詞が続き、終わればまた最初から歌います。田植えは長時間、腰をかがめての大変な作業。こうした歌を歌いながら、早乙女同士のリズムを合わせ、気分を明るくして、作業効率も保っていたのですね。
歌詞に登場する那須与一といえば、源平合戦や鎌倉幕府・源頼朝に仕えて活躍した武将です。屋島の戦いで船の上の扇の的を射たことなどで有名ですが、実は那須に城を構えていた那須氏の当主ともなった人物なのです。NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に、那須与一のエピソードが登場しないのが、ちょっと残念です…
さて、5月を和風月名では皐月(さつき)と言いますが、この語源は田植えの月という意味の早苗月が省略された、という説があります。
そして5月には、月不見月(つきみずつき)という和風月名もあります。旧暦の皐月の頃は、今でいう5月の終わりから6月。梅雨の頃だったからなんですね。
今年は、梅雨入りが早まりそうだとか。今のうちに、初夏の散歩を満喫しておきたいと思います。
お肌の調子はいかがですか。
紫外線や季節の変わり目などで肌トラブルが多くなることから、最近では「肌の五月病」などと言われるようになりました。スキンケアは言うまでもなく、ビタミンAやCをいつもより多く摂ることを心がけたいですね。5月は新茶の季節。お茶にはビタミンCや体内でビタミンAとなるカロテンも含まれています。飲むだけではなく茶殻に栄養素がたくさん残っているので、天ぷらにしたり、佃煮にしたりするのもおすすめです。