月の巡りと共に－「那須贅沢時間」２巡り目「NPO法人那須フロンティア　就労支援事業所　喫茶店ホリデー」さん

　那須の自然におしえられながら満月化粧水「月子」を誕生させた（株）サクネス代表の澤野典子が、那須でご縁をいただいた方を訪ねて、お話を聞かせていただくシリーズ。お話を通して、日々の暮らしがいつもよりちょっと心豊かに、心軽やかになる…。そんな「那須贅沢時間」を見つけてお届けします。

「まち」に柔らかな空気を創るカフェ

喫茶店ホリデー

　〝メンタルヘルスを中心としたまちづくり〟を目指す特定非営利活動法人「那須フロンティア」が展開する「喫茶店ホリデー」。メンタル面で生活しにくさを感じている方々の一般企業への就職を応援する就労支援事業所です。10人前後の通所者さんが、作業療法士をはじめとするスタッフや製菓職人、地域のボランティアさんなどに見守られ、時に助け合い２年間。働く喜びを体感し、社会に羽ばたいていきます。

喫茶店ホリデー店内

　路地に佇むお店には、柔らかな陽射しが降り注ぐ庭とテラス、店内は木のぬくもりと甘く香ばしい香り、「おいしいね」という囁き、笑顔が溢れる穏やかな空間が広がります。家庭の味のようで有名店に劣らない、他では表現できないスイーツやお料理の味わいの大ファンで定期的に訪れて「那須贅沢時間」を過ごしています。

　喫茶店の奥には菓子工房と作業場もあります。「月子」スキンケアシリーズはこちらの作業場で丁寧に梱包され皆さんの手元に届けられています。もう５年以上お世話になっています。

ホリデーのカレー

　ランチのお薦めは「カレー」です。じっくり煮込まれ、爽やかだけれど辛味も効いたクセになる味でレシピは限られた職員しか知らないそうです。そんな秘密もスパイス。一層とりこになってしまいます（笑）。お客様に「どんな料理か」をきちんとお伝えできように、通所者さんも食べて感想を共有しているそう。スタッフとしての自覚をじっくり培っているのですね。

ホリデーのケーキ

　季節限定のケーキを少しずつ味わえるプレートをはじめスイーツも大人気。「お客様に幸せを感じてほしい」と元パン職人の工房スタッフ鹿又晴美さんが材料、製作工程にこだわり抜いた証です。特に焼き菓子は「ホリデーのクッキーを食べてから他店では満足できなくなった」という人もいる程。作り手、通所者さんたちの素直な思いが重なっている。だから安心しておいしいと感じられるのかもしれません。

　さらに魅了される逸品が「フレンチトースト」です。プレーン、ごま、シナモンの3種類あり、パンは厚切りでバニラビーンズで香りづけされた砂糖を加えられていてシンプルだけれど深みがあります。特に、ごまとシナモンのハーフ＆ハーフがお薦め。ごまの香ばしさが鼻をくすぐります。提供に少し時間が掛かりますが、その待つひとときも「那須贅沢時間」。鳥の声を聞きながら、卵液をたっぷり吸いこんだトーストが焼きあがる香り、通所さんの充実した笑顔に触れながら〝待つ時間を味わう〟。都会ではなかなか出合えません。

木村さん

　運営責任者であり、作業療法士の木村友一さんは、

　「大学の恩師荻原喜茂先生が立ち上げた法人の事業に学生の時から携わっていました。病気や障害に焦点を当てて支援する施設が多い中で『メンタルヘルスを中心としたまちづくり』を掲げ、地域の幅広い方たちを対象に事業を行っていく方針に共感し入社しました。就労支援先として一般企業にもご協力いただいています。

　「お店では『就労につながるポジティブな経験がどうしたらできるか』を通所者さんたちと共に日々考えながら進めています。少しでも変化や成長が見られると互いの喜び、励みになるんです。お客さまには喫茶店として利用していただきながら、通所者さんが仕事をしている姿に触れて、病気や障害を身近に感じていただけたらうれしいです」と笑顔で語ります。その穏やかな声に、心がぽかぽか温かくなりました。

ホリデーと月子のコラボケーキ